ボランティア・ミシガン研修
高齢者の「こころのケア」に取り組むボランティアの育成

心のケアに携わるボランティア約15名を公募・選考し、米国のミシガン大学に派遣して一週間の研修を実施しています。日本の高齢者医療・福祉にも造詣の深い講師陣から、傾聴が果たす役割、高齢者の心を支えていくあり方などを、わかりやすく学ぶことができます。

当初は、当財団が阪神・淡路大震災を機に立ち上げた「ユニベールボランティア」の研修のために、1996年から毎年ミシガン大学にボランティア・メンバーを派遣しておりましたが、内外からの要請により、2008年からは一般に枠を広げ、全国で心のケア・傾聴ボランティアに取り組んでいる方々を対象として開催しています。

事例を交えながら“傾聴”“受容”“共感”などについて学ぶ講義のほか、ボランティアが活躍する施設の見学や、現地のボランティアと交流し、ボランティアに同伴して活動を体験することもできます。また、野外でのアクティビティを通して楽しくチームワークを学び、自分を見つめ直す体験学習なども用意されています。

身近に高齢者と接するボランティア、災害で傷ついた被災者のこころのケアにあたるボランティアのみなさまにお勧めします。

※ミシガン現地での研修に代えて、国内で心のケア・ボランティアに関わるフォーラムを開催することがあります。心のケアフォーラムについては、下記をご覧ください。

募集要項・参加申込書のダウンロード

※2017年度の募集はございません。
国内にて、心のケアフォーラムを実施いたします。


研修レポート

2016年度

第7回ボランティア・ミシガン研修

2016年10月23日から30日の一週間、第7回ボランティア・ミシガン研修を実施しました。高齢者や災害被災者を対象に傾聴活動に取り組む全国各地のボランティアグループから、14名の方が参加されました。

木々が色づき始めた秋のミシガン州アナーバー市にて、「福祉施設の見学」「専門家による講義」「ボランティア体験」「日米ボランティアの交流」等、多彩なカリキュラムで研修がおこなわれました。今回のスケジュールを簡単にご紹介します。

ミシガン大学キャンパス


研修1日目。「ターナー・シニア・リソース・センター」で活動するピア・ボランティアとの交流会がありました。友愛訪問活動を20年間してきた方、御年99歳の今も認知症患者の入所施設でボランティア活動をしている方など、7名のボランティアが来てくださいました。人の役に立ちたいと活動するボランティアは、日米共通して相手を思いやる笑顔と温かさに満ちていて、和やかな雰囲気の中、小グループでディスカッションがおこなわれました。

アメリカのボランティアとの交流

研修2日目は、ゲーム形式のアクティビティに挑戦する「チャレンジ・プログラム」。仲間と協力して課題を達成していくことで、チームワークが深まるだけでなく、グループ(組織)として働くことについて深い学びを得ることができました。参加者は、「問題点をメンバーそれぞれが言っていてもまとまりません。それを一本化したり、各メンバーに情報共有するように働きかけるファシリテーターが必要で、それは社会組織でも、私たちボランティア組織でも同じだと思いました」とプログラムを通しての気づきを述べていました。

屋外でチームワークを育てるプログラムを実施

研修3日目は、現地のボランティアに同行して、一人暮らしの高齢者宅への友愛訪問や、食事を届ける配食サービスなどのボランティア活動を体験しました。活動から戻り、自分たちがおこなった活動を報告する際には、皆さんとても生き生きと話していました。

友愛訪問に同行した参加者からは、「玄関の前に“Welcom to us”と書かれていて、歓迎してくださっているのがとても嬉しかったです。認知症の方で、何度も『あの人たちは?』と聞いていらっしゃいましたが、娘さんが『日本人の友達よ』と優しく答えられて…訪問して私たちが楽しませていただき、癒されました」「子どもの頃、戦争のために中国語は禁止され、日本語を教えられて育ったという中国人女性を訪問しました。日本語、そして昔のことを分かってくれる人が周りにいないので、私たちに心の中を話すことができて嬉しいとおっしゃっていました。心のケアは、本当に自分のことを分かってもらえる相手がいることだと感じました」といった報告が聞かれました。

また配食サービスに同行した参加者からは、「富裕層と、低所得者層と両方の方に食事を届けました。食事代が払えない場合には、払わなくても良いそうです。日本では考えられないことで、とても驚きました。」「ボランティアをされているご夫妻は月2回、一時間半程度とのこと。無理のない範囲で自然な形で取り組んでいる姿に、国民性を感じました」等の発言がありました。

ミシガン大学キャンパス

研修4日目は、午前中に、地域の福祉サービス機関で活動するボランティアの方々との意見交換会がありました。2時間以上にわたり、ボランティア活動を通して感じるやりがいや難しさについて話し合いました。認知症の方への傾聴で、どのように信頼関係を築けばよいかという悩みを打ち明けた参加者は、アメリカのボランティアから色々なアドバイスをもらい、身を乗り出すように話し合いをされていました。すべてのプログラムに通訳が付きますので、国境を越えて、ボランティア同士の交流を深めることができました。

午後は「アーバー・ホスピス」を訪問しました。施設に入所しているのは全体の5%で、残りの95%の患者さんは地域で生活をされているとのこと。アカペラ・コーラスや、セラピー・ドッグの訪問等、施設内外で様々なボランティアが活動していて、患者さんの大きな支えとなっていることを知り、参加者の皆さんは心打たれていました。

アメリカのボランティアとの交流

研修最終日、ミシガン大学で「いかに援助したらよいか」をテーマに、ルース・キャンベル先生(ミシガン大学附属ターナークリニック元ソーシャルワーク部長)とフォーク阿部まり子先生(同大学ヘルスシステム臨床ソーシャルワーカー)による講義が行われました。ルース先生は、アメリカと日本で実践された『認知症ケアにおけるアプローチ(ライフレビュー・インタビュー、ベストフレンド・アプローチ等)』について紹介してくださり、フォーク先生は、ボランティアのセルフケアにもなる『マインドフルネス』をレクチャーしてくださいました。

この日の講義以外にも、二人の先生は、カリキュラムの振り返りや質疑応答の時間をたくさん設けてくださり、日米のボランティア団体の在り方や日本で感じている活動上の課題について、様々なアドバイスや知恵を共有してくださいました。専門家のお二人から直接指導をいただけるのは大変貴重な機会で、参加者の皆さんも先生方との出会いを、大変喜ばれていました。

ミシガン大学の校舎の前で

夜には、一人一人の参加者に修了証が授与され、セミナーを無事に終えたことを喜び合いながら楽しい食事会で締めくくりとなりました。
参加者にとり、“人の心を支える”という同じ志を持つ仲間と学び、経験を語り合えたことは、大きな励みになったようです。
出会った仲間とも連携しながら、心のケア・傾聴ボランティア活動を推進するため、研修を活かしてますますご活躍いただきたいと思います。

講師の先生方から修了証を授与していただきました

動画

研修の様子をYouTubeでご覧いただけます。