研究概要

代表者氏名藤本 実希(ふじもと みき)
代表者所属機関King's College London
役職・課程博士課程
助成年度2022年度

研究テーマ

地域に暮らす高齢者へのアドバンス・ケア・プランニングプログラムの開発

研究概要

今回助成対象となったインタビュー調査は、研究全体の一部に位置付けされる。

本研究テーマである「地域に暮らすフレイル高齢者へのアドバンス・ケア・プランニング−レディネスを高める介入の開発と実現可能性の評価−」は、1.システマティックレビュー(文献レビュー)、2.インタビュー調査、3.フィジビィティ調査で(実現可能性の調査)で構成されている。1.2.の調査結果から高齢者へのアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)のレディネスを高めるための介入を開発し、3.を実施し、実現可能性、受容性を調査する。

目的:地域に暮らす高齢者や家族、医療福祉従事者のACPに対するレディネスに関する経験や考えを探索する
研究デザイン:質的インタビュー調査
データ収集方法:半構造化インタビュー
サンプリング方法:目的的サンプリング
データ分析方法:Reflective Thematic data analysis (Braun & Clarke, 2019)
倫理的配慮:King’s College London倫理委員会、関西学院大学の人を対象とする行動学系研究倫理委員会の承認を得たうえで、調査を実施した。

結果:地域に暮らすフレイル高齢者9名、家族6名、医療福祉従事者16名(医師3名、看護師3名、ケアマネジャー10名)に半構造化インタビューを実施した。平均インタビュー時間は、1時間13分であった。フレイル高齢者の平均年齢は、83.6歳(SD 8.4)、平均フレイルティスコアは5.4(SD 1.3:≧4はプレフレイルもしくはフレイル状態)。医療福祉従事者の平均経験年数は13.1年(SD 8.06)であった。

全ての高齢者が自分の現在受けているサービスやケア、将来の治療やケアに関する思いや価値観をもっていた。しかし、それらについて家族や医療福祉従事者と話し合いをしたり、書面に残している高齢者は限られていた。

医療者からは、フレイル高齢者の経過の予測が難しいため、話し合うタイミングを逃す傾向が報告された。したがって、高齢者だけでなく、専門家のレディネスも併せて高める必要があると考えられる。

フレイル高齢者のACPに対するレディネスは、メディアや家族などから影響を受け、変化し続けることが示唆された。レディネスをプロセスとして捉え、高齢者のレディネスをその都度アセスメントし、その時の高齢者の状況に併せてレディネスを高める介入が必要になるだろう。