代表者氏名 | 陳 森(ちん しん) |
---|---|
代表者所属機関 | 東京福祉大学社会福祉学部 |
役職・課程 | 講師 |
助成年度 | 2022年度 |
シェアリング・エコノミー型の在宅ケアサービスの購入における意思決定メカニズムの解明ー技術受容モデル(TAM)からのアプローチー
近年、「Airbnb」や「UberEats」の事業拡大に伴い、「シェアリングエコミー」という言葉は新たな経済システムとして、熱い眼差しが注がれてきている。ところが、介護人材の供給不足に対するシェアリングエコノミーという新たな経済モデルの有効性に関して、さらなる検討が必要である。
研究項目①では、イチロウ株式会社を対象とする事例研究から、シェアリングエコノミー型の介護保険外サービスの利用現状とその課題について検討した。インタビュー調査の結果によると、まず、要介護者の利用現状について、例えば、保険外サービスの利用者は65歳以上の方が圧倒的に多いことと、若いヘルパーの登録も確認できが、40代と50代の方が全体の6割を占めることが明らかにされた。また、低賃金やミスマッチによる介護労働力不足問題の解決に対して、シェアリングエコノミーという新しいビジネスモデルの有効性が示唆された。最後に、対応できる内容が極めて限られている介護保険サービスの補完として、「保険内サービスではないと利用しない」という固定観念をいかに払拭するか、ならびに「ビジネスケアラー」への支援展開は今後の課題として挙げられる。
研究項目②では、情報システム利用の人間行動モデル(TAM:技術受容モデル)を援用し、マッチングプラットフォームを介して要介護者自らの情報探索行為、特にその利用傾向に影響を及ぼす各要因の解明を試みた。分析結果によれば、ネット上において、介護保険外サービスの利用傾向性は、外部環境、能力、個人革新性、知覚された有用性、知覚された使いやすさ、知覚されたリスク等の6つ影響要因によって規定されることが確認された。また、介護保険外サービスを対象とするオンライン購買の場合では、消費者の個人革新性は高ければ高いほど、知覚された有用性がより高くなるという既存研究からの指摘と異なる知見も示された。