代表者氏名 | 大澤 理恵(おおさわ りえ) |
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代表者所属機関 | 星槎大学 |
役職・課程 | 客員研究員 |
助成年度 | 2022年度 |
里親家庭が里子受け入れの際に実子から求める「インフォームド・アセント」
―実子への「インフォームド・アセント・ガイド」の作成―
里親家庭が里子を受け入れる際に、すでに実子がいる場合が少なくない。『養育家庭体験発表集』(東京都保健福祉局, 2006~2019)のケースをみても、里子を受け入れた家庭に実子がいた割合は、52.0%になっている。
本研究の目的は、里親家庭が実子に対して行っている「受け入れようとする里子に関する説明」と「受け入れへの同意(賛意)」(インフォームド・アセント)は、どのような「要素」から構成されており、どのような「表現」で説明をし、実子からどのようなかたちで同意を得ているかを、里親を対象とするインタビュー調査によって明らかにすることである。さらに、調査結果に基づいて、これまで必要ではあったが存在しなかった実子への「インフォームド・アセント・ガイド」の案をまとめ公表することが、最終的な目的である。
調査の結果、実子への説明に含まれていた要素には、①-1里親という言葉、①-2里子という言葉、②預けられた経緯、③里子の名前や年齢、性別、④-1里子の気持ちを代弁、④-2実親の気持ちを代弁、⑤里子が特別ではないこと、⑥マイナス面や環境の変化、⑦里子へのかかわり方、⑧里子が得意なこと、⑨予定期間、⑩困ったときには相談できること、⑪委託解除できること、⑫-1実親の現状、⑫-2里子の生い立ち、⑫-3里子の病気や発達、⑫-4受託期間の変更、⑫-5実子への愛情、⑫-6手当の支給、⑫-7関係者が家に来る、があった。なお、説明をする際には、実子が不安に感じる可能性を考慮して説明したり、場合によっては説明を控えたりする必要のある要素がいくつかあった。