代表者氏名 | 岡田 まり(おかだ まり) |
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代表者所属機関 | 立命館大学産業社会学部 |
役職・課程 | 教授 |
助成年度 | 2022年度 |
障害者の地域での自立生活支援
わが国では、未だに障害があるために施設への長期入所や病院への社会的入院を余儀なくされている人々がいる。これは、第二次世界大戦後、わが国が障害者に対して施設入所や病院入院を中心とする隔離収容政策をとったためである。「障害者権利条約」採択を契機として、わが国でも、改善にむけての取り組みが行われてきたが、まだまだ不十分である。「障害があるので地域での自立生活は無理」と考えている人も多く、支援体制の強化とともに、このような考えかたを変えていく必要がある。そこで本研究では、障害者と家族が、障害者自身と環境の可能性を見出し、適切なサービスを利用することで地域での自立生活が可能になるという仮説を検証すること、障害者の地域移行に向けての課題を明らかにすることを目的とした。地域での自立生活を実現した障害者3人、地域での自立生活に向けて取り組み中の家族2人、そして障害者の地域移行支援の経験が豊富な支援者6人を対象に個別インタビューを行った。その結果、障害者が、既に自立生活をしている障害者をモデルとして自立の可能性を見出し、適切なサービスを利用することで自立していることが明らかになり、仮設は実証された。また、障害者の地域移行における課題も明らかになった。その課題を踏まえて、最後に、情報提供、相談支援の充実、福祉制度・サービスの改善を提言した。