研究概要

代表者氏名小川 修史(おがわ ひさし)
代表者所属機関兵庫教育大学大学院学校教育研究科
役職・課程准教授
助成年度2022年度

研究テーマ

ユニバーサル・ファッションの普及を志向したDiversity Branding Modelの構築

研究概要

近年,SDGsの観点から,ユニバーサルデザイン(Universal Design:UD)に注目が集まっている.UDの実現を目指すうえで,Accessibility(多様なユーザが製品やサービスにアクセス可能かどうか)とUsability(分かりやすさ/使いやすさ)は重要な概念といえる.一方で,デザインには「魅力」や「ユーザの満足度」が必要不可欠であり,かつ障害のあるユーザのみの魅力ではなく,できる限り多くの人にとっての魅力を保障する必要がある.そこで,AccessibilityとUsabilityが保障されることを前提に,なるべく多くの人にとっての楽しさ・喜び・幸福感を「Enjoyability」と定義し,本研究ではAccessibility,Usability,Enjoyabilityの3層で構成されるモデル「NextUD(Next Universal Design)」の定義を進めている.現状の課題として,NextUDの開発プロセスが整理されていないため,企業にとってNextUD商品の開発にかかる障壁が高い点が挙げられる.そこで,本研究ではユニバーサルファッションを題材に,NextUDに基づく製品開発過程をDiversity Branding Model(DBM)として整理することを目的とする.具体的には,①インタビュー調査の分析から障害当事者のニーズに関する特徴単語を抽出し,②NextUDファッションの制作過程の分析を通した概念の抽出作業を実施したうえで,③抽出した概念を概念辞書(オントロジー)を用いて体系化し,DBMの構築を試みた.結果,ユニバーサルファッションにおける配慮すべき点を整理すると共に,概念レベルで配慮点とスタイリングポイント(全体の印象を際立たせるためのポイントや要素)の関係整理を実現した.