代表者氏名 | 三村 泰広(みむら やすひろ) |
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代表者所属機関 | 公益財団法人豊田都市交通研究所 |
役職・課程 | 主幹研究員 |
助成年度 | 2022年度 |
知的障害者の公共交通利用における心のバリアに関する基礎的研究
本研究は、知的障害者の公共交通利用を対象とし、周囲の他者との関わり合いの観点から以下の点を明らかにしたものである。
(1)公共交通での移動を制約する周囲の他者別の心のバリアの整理
(2)公共交通利用時における周囲の他者別の心のバリアの発生に至る性質の分析と理解
(3)公共交通での移動における心のバリアフリーに向けた課題整理
得られた知見は以下のとおりである。
・愛知県豊田市に所在する主に知的障害者が通所する就労継続支援事業所(6事業所)へのヒアリングを通じて、知的障害のある利用者が直面した通所時の心のバリア並びにその後の対処状況を整理した。結果、運行事業者側の障害理解を高める重要性が高い一方、保護者には、積極的に公共交通を利用させようとする立場とそうでない立場を取る場合があり、その分岐には利用者の実際の障害の程度や内容が問題ではない可能性がある点を明らかにした。
・知的障害者の公共交通利用時における特性についての周囲の他者(第三者(n=487)、運行事業者(n=65)、保護者(n=100)、就労継続支援事業者(n=67))別の認知状況と、周囲の他者自身が公共交通利用時に同乗する知的障害者が困難な状況に陥っている場面に遭遇した際に支援するか否かという心のバリアの発生についての関連性を分析した。結果、とくに第三者に対しては、知的障害者が公共交通を利用する際に、本人がどのような状況に陥っているかを優先して伝えていくことが、知的障害者の公共交通利用時における心のバリアの解消、軽減において特に有効であることを明らかにした。