代表者氏名 | 林 萍萍(りん へいへい) |
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代表者所属機関 | 大阪商業大学公共学部 |
役職・課程 | 助教 |
助成年度 | 2022年度 |
ウィズコロナにおける在日外国人労働者の孤独感とメンタルヘルスに関する研究
本研究は、4つの研究を通して、在日中国人および在日シリア人の孤独感およびメンタルヘルスを検討した。
研究1では、111人の在日中国人を対象にウェブ調査を行い、彼らの孤独感に対する捉え方と対処行動を検討した。孤独感という言葉を使う直接設問では、約5割の人が孤独感を感じており、孤独感という言葉を使わない間接設問では、その割合が4割となっている。
研究2では、114人の在日シリア人を対象としたウェブ調査を行い、彼らの孤独感やコロナ禍がもたらした影響などについて検討したところ、約5割強の在日シリア人が孤独感を感じていることがわかった。
研究3では、338人の在日中国人を対象にウェブ調査を行い、孤独感の捉え方と孤独感の対処行動の尺度を作成し、孤独感とメンタルヘルスの関連要因を検討した。孤独感の捉え方として、「自己成長」「肯定的評価」「否定的評価」の3因子、孤独感の対処行動として、「自己調整」「リラックス・娯楽活動」「対人コミュニケーション」「回避的対応」の4因子が得られた。また、差別経験やソーシャルサポートなどが孤独感と抑うつのリスクに影響を与えることが示唆された。さらに、日頃の孤独感の捉え方と対処行動が孤独感に影響を与えること、感情調整方略がメンタルヘルスに影響を与えることが示唆された。
研究4では、研究3の回答者のうち214人を対象に追跡調査を行い、孤独感およびメンタルヘルスの変化を捉えた。その結果、孤独感が増加した、減少した、変わらない回答者がそれぞれ3割程度であり、メンタルヘルスの状態が改善した回答者と悪化した回答者がそれぞれ4割程度となっている。