研究概要

代表者氏名飯田 奈美子(いいだ なみこ)
代表者所属機関日本学術振興会/立教大学
役職・課程特別研究員(RPD)
助成年度2020年度

研究テーマ

手話通訳実践における介入基準作成と事例検討による介入行為教育方法の確立

研究概要

対人援助場面の手話通訳は、対人援助の専門家とクライエントの要通訳者間に権力の非対称性があることから、正確性・中立性などの通訳倫理を忠実に実行する通訳では要通訳者間のコミュニケーション不全を招くことになり、通訳者がコミュニケーションの調整やケア的役割を担わざるを得ない状況に直面することがある。特に、手話通訳者は、通訳制度誕生の歴史的背景から、ろう者の社会参加を使命としており、通訳実践中の介入行為やろう者の権利擁護など幅広い役割を求められることが多い。しかし、権利擁護と介入行為を区別して行う必要があるのだが、現状は通訳者の経験知やカンに基づいて行われており、要通訳者間のコミュニケーションの調整を理論的根拠に基づき介入できる通訳技術を構築していくことが必要とされている。そこで、本研究は、飯田(2016)が作成した通訳の公正介入基準をもとに、手話通訳実践に沿った介入基準の作成を行い、さらに、通訳者の介入行為の教育方法として事例検討会を開催し、事例の収集とともに、教育方法の確立を目指すことを目的とする。