研究概要

代表者氏名春日 彩花(かすが あやか)
代表者所属機関大阪大学大学院人間科学研究科
役職・課程助教
助成年度2019年度

研究テーマ

日本人成人による高齢者の知恵の評価と測定尺度の開発

研究概要

本研究では、知恵には能力に関する側面と態度に関する側面の2つの側面が存在すると考え、両者のつながりを考慮した知恵尺度の開発を目的とした。調査1では尺度の項目を検討した。結果として、おおむね解釈可能な因子構造を得ることができた。ただし、《経験の豊富さ》という、知恵において重要だと考えられる側面の項目がすべて脱落したこと、因子間相関や信頼性の面でもいくつかの課題が残されたことから、今後更なる検討が必要である。また調査2では、「知恵のある人」像の多様性に関する検討を行った。その結果、「知恵がある人」として表現される人物像に、いくつかのパターンが存在することが示唆された。これは、知恵尺度を用いて個人の知恵を評価するにあたり、総合得点を算出するのでは、個人の知恵を十分に捉えきれない可能性を示唆している。知恵の多様性を考慮することで、今まで知恵が高いと見なされなかった人を再評価することにつながる可能性がある。