研究概要

代表者氏名柴 ラク(サイ ラク)
代表者所属機関東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科
役職・課程博士後期課程
助成年度2019年度

研究テーマ

中国における里親養育支援のあり方-山西省T市の里親に対するインタビュー調査から―

研究概要

 本研究では中国山西省T市における14の里親家庭を調査対象とし、里親養育の実態及び里親支援のあり方に関する検討を行った。
 「里子には安定的かつ継続的な養育環境が重要である」という視点から考えると、長期的に里子を養育し続けることを保障するため、里親への支援の充実が必要となる。中国において、里親家庭に入った子どもは障害を持っているケースが多いので、里親に障害児養育に関する知識及び正しい接し方を身に付けさせるため、里親家庭に対する研修・教育を強化する必要があると考えられる。また、障害児のケアに対応しきれない事態を防ぐため、一時的な休息のための援助が必要となる。なお、実子が里子を受け入れることを困難にした原因として、「子育てにおける家族からの支えを失った」ことで実子の意識に大きな影響を与えたことがわかった。この現象の背景として、祖父母による家庭内支援が子育て支援の一つとして中国では一般的だという事情がある。事例から見えてきたように、里親が自分の家族を支援したいと思った時、里親委託を解除することなく、「里子養育」と「家族への援助」を両立させる方法を今後社会的養護の1つの課題として検討する必要がある。