研究概要

代表者氏名渡部 幹(わたべ もとき)
代表者所属機関モナッシュ大学マレーシア校
役職・課程准教授
助成年度2018年度

研究テーマ

日本社会が受け入れる移民:シク教徒の文化と職業倫理研究

研究概要

グローバル化が進み、労働人口の急激な減少に直面している日本は、外国人労働力の導入を真剣に考える時期を迎えている。しかし、国民感情や文化、外交問題などにより、近隣諸国の人々を迎え入れるかどうかについて、大きな議論が起こっているのもまた事実である。本研究はこれらの状況を踏まえ、シク教徒の文化と職業倫理を、日本文化への文化適応の観点から検討したものである。15世紀インド北西部でグル・ナーナクにより興されたシク教は、イスラム教およびヒンドゥ教からの度重なる迫害を受けてきたため、一部のシク教徒は難民として世界各地に散らばった。その主な渡航先は欧州や北米、東南アジアであり、日本にはほとんど来ていない。そのため日本でのシク教への認知度は高いとは言えない。そこで本研究では、日本に住んでいる在邦シク教徒、移民としてすでに文化適応を済ませたマレーシア在住のシク教徒、そしてインドのシク教徒を対象としたインタビューおよび質問紙調査を実施した。その結果、シク教徒は日本文化に適応できる潜在力は大きいものの、シク教寺院を中心としたシクコミュニティを異文化でどの程度確立できるかが最大課題であることが指摘された。