研究概要

研究テーマ

心の健康問題をもつ高齢者の生活支援に向けて「高齢者入所施設における精神障害者へのケアの現状と課題」

研究概要

　精神科医療において、認知症を除く精神障害(主に、統合失調症)をもつ65歳以上の長期入院高齢者の退院支援や地域生活におけるケアは近年の課題といえる。高齢者入所施設は、地域生活の場の一つとして期待されているものの受け入れが難しい現状がある。そこで、高齢者入所施設における精神障害者へのケアの現状と課題を検討することとした。
　本研究に先駆けて、施設援助職者に精神障害者へのケアに関連する体験についてインタビューを行った。本研究は、高齢精神障害者に援助職者から受けているケアに関連する体験についてインタビューを行った。
　その結果、参加者らは、援助職者から【自分に関心を向けてくれる】ケアを体験し、「感謝」の気持ちを示していた。時には、【自分の思いを否定される】ような体験をしており、「悔しさ」「もどかしさ」を感じていた。また、一部の参加者は、【偏見を感じる】ような体験をしていた。しかし、【一人の人としてみてもらえる】体験を通して、施設での生活や病気への思いが前向きに変化していた。精神障害者というよりも「一人の人」として尊重した生活へのケアが重要である。