研究概要

代表者氏名作田 誠一郎
(さくた せいいちろう)
代表者所属機関佛教大学社会学部
役職・課程准教授
助成年度2018年度

研究テーマ

非行少年に関する支援者観と社会的支援の研究

研究概要

 本研究は、少年院に在院する少年に対してアンケート調査およびインタビュー調査の両面から支援者観について家族を中心に考察した。支援者については、家族のほか、教師や警察、友人などの関わりが想定されるが、家族は少年にとって非行の要因ともなり、一方で立ち直り支援の要ともなる存在である。したがって、非行少年の家族関係と家族観を知ることで、少年院の仮退院後に進められていく社会的支援を受け入れる支援者観が明らかになると考えた。
 結果としては、アンケート調査においてひとり親の割合は高く、女子は男子とくらべて家族との関わりや理解されているという意識は低いことがわかった。その要因のひとつとして、被虐待経験があげられる。実際に女子の方が約4割の虐待経験を有していた。しかし、家族は非行からの立ち直りに関して大きな役割を担っている。
 インタビュー調査によれば、良好な家族関係もあれば保護者の死別や虐待などの家族関係に問題を抱えたケースも認められた。そのような多様な家族関係の存在が明らかになったが、仮退院前のインタビューではその家族が支えとなっているケースも認められた。この家族関係は、支援者観に大きな影響を与えるとともに、NPO等の社会的支援を受け入れる素地を養うものと考えられる。