研究概要

代表者氏名住友 陽菜(すみとも はるな)
代表者所属機関大阪大学大学院 
医学系研究科保健学専攻
役職・課程博士前期課程
助成年度2018年度

研究テーマ

産後2週間健診による母親の産後抑うつ症状の予防・改善の検証

研究概要

【目的】
 産後2週間健診を受診したことによる産後1か月時の母親の健康度 (授乳・精神状況) への影響を明らかにすること。
【方法】
 大阪府内の2施設で、198名の母親を対象に産後2週間時と産後1か月時に質問紙調査を実施した。授乳状況、産後うつ病のリスクを評価するThe Edinburgh Postnatal Depression Scale、産後2週間健診受診状況のデータを収集した。産後2週間健診の受診の有無と産後1か月時の母子の健康度の関連は、χ2検定を用いて解析した。
【結果】
 113名 (57.4%) が産後2週間健診を受診し、そのうち37名 (33.9%) が受診に対して負担を感じていた。産後2週間時に産後うつ病のリスクがある母親において、産後2週間健診を受診したことと産後1か月時の授乳困難感があること (p = 0.03)、産後1か月時の産後うつ病のリスクがないこと(p = 0.03)に有意な関連は示された。しかし、産後2週間時に産後うつ病のリスクがない母親においては、産後2週間健診を受診したことと産後1か月時の授乳・精神状況との有意な関連は示されなかった。
【結論】
 産後2週間健診受診の有無が産後1か月時の授乳・精神状況と関連しているかを検討した結果、産後2週間時に産後うつ病のリスクがない母親では、産後2週間健診を受診したことと産後1か月時の授乳状況・産後抑うつ症状の改善との有意な関連は示されなかったが、産後2週間時に産後うつ病のリスクがある母親では、産後2週間健診を受診したことと産後1か月時の産後うつ病のリスクの有無と有意な関連が示された。よって、産後2週間時に産後うつ病のリスクがある母親にとって、産後2週間健診は産後1か月時の産後抑うつ症状を改善する可能性が示唆された。しかし、産後2週間健診を受診した母親の約33%は産後2週間健診を受診する負担を感じているため、負担を考慮し、健診を実施する必要がある。