研究概要

代表者氏名神崎 真実(かんざき まみ)
代表者所属機関立命館グローバルイノベーション研究機構
役職・課程専門研究員
助成年度2017年度

研究テーマ

不登校者・中途退学者の再就学機関としての私立通信制高校の増加要因と運営実態
―「就学」に関するまなざしと条件の記述―

研究概要

本研究の目的は、不登校・高校中途退学経験者の受け入れを行ってきた私立通信制高校について、学校数増加の背景にある政策的・学校組織的要因を分析することである。少子化で学校が減ってゆく中、私立通信制高校は1990年以降、その数を拡大してきた。しかし、その増加メカニズムについて、これまで十分な説明は与えられてこなかった。そこで本研究では、①設置認可に係る資料に基づく法人と私学審議会の見解の分析、②アンケート調査に基づく自治体の定員管理に関する意向の把握を行った。また、通信教育規程が2度改正され、教員定数と校舎の自己所有に関する条件が緩和されたことをふまえ、③これらの条件緩和が通信制高校の増設を促した可能性について検討した。結果、通信制高校の設置をめざす法人は、全日制高校に適合的でない生徒を受け入れることを設置趣意として掲げていたこと、私学審議会では既設の高校とは生徒層が異なるため競合しないという判断のもと設置が認可されてきたこと、通信制高校を入学定員の調整対象から外す自治体が多いことがわかった。さらに、通信教育規程改正による学校設置条件の弾力化が、通信制高校の増設を促したことが示された。