研究概要

代表者氏名趙 文静(ちょう もんせい)
代表者所属機関北海道大学大学院
医学研究院公衆衛生学教室
役職・課程助教
助成年度2017年度

研究テーマ

中国農村地域に居住する高齢者の身体活動と抑うつ症状との関連―日本での研究経験を活かして

研究概要

中国は世界で最も老年人口が多く、様々な高齢社会問題に直面している。農村部でより早期に高齢化が進んでいるにもかかわらず、中国では大多数の研究は都市地域を対象として行われており、農村地域に在住する高齢者の抑うつ状態はあまり注目されていない。そこで、本研究は、中国河南省農村部にあるZ町に在住する60歳以上の高齢者を対象とし、身体活動と抑うつ症状との関連を明らかにすることを目的とした。身体活動は質問紙により、抑うつ症状は老年期うつ病評価尺度(GDS)を用いて評価した。553名(男240名、女313名)の参加者が質問紙に回答した。GDSの得点は中央値が4点であり、6点以上を抑うつ症状ありとした場合、男29人(12.9%)、女63人(20.9%)に抑うつ症状が存在した(p=0.008)。性、年齢、婚姻、教育レベル、職業、喫煙、飲酒、一人で食事、一人暮らし、社会参加を調整した後、中等度身体活動、日常歩行習慣、座位時間と抑うつ症状との有意な関連がみられた。本研究により、中国の農村地域在住高齢者においても身体活動が抑うつ状態を予防する可能性が示唆された。