研究概要

代表者氏名宮本 恭子(みやもと きょうこ)
代表者所属機関島根大学
役職・課程教授
助成年度2017年度

研究テーマ

生活困窮者自立支援制度の自立支援機関における相談票に基づく医療アクセスの分析

研究概要

 低所得者層が必要な医療を受けられないことが、大きな社会問題として持ち上がってきている。本研究の目的は、生活困窮者自立支援制度の自立支援機関における相談票のデータを用いて、『受診抑制』のリスクが最も大きいと考えられる、生活困窮世帯の医療サービスの『受診抑制』の特徴を明らかにし、効果的な政策を検討することにある。分析からは、『受診抑制』のある生活困窮世帯は、「病気や健康、障害のこと」で困っていても受診できていない可能性が高く、「ひきこもり・不登校」の困りごとも抱えている可能性が高いことが示唆された。『受診抑制』の要因は、所得ベースの経済的な問題だけでなく、社会的孤立の問題もあり、複合的であることが改めて確認されたといえよう。『受診抑制』のある生活困窮世帯は、社会的孤立の問題の可能性が高いことを考えれば、誰でも経済状況に関係なく病気や健康の相談ができ、そこから社会的孤立の問題やそれ以外の困りごとにもアプローチできる仕組みづくりが重要になる。そのために、これらの世帯を発見し、必要な支援・サービスにつなげるための多様な“入口”を確保することが課題になる。