研究概要

代表者氏名楠本 敏之(くすもと としゆき)
代表者所属機関東京大学大学院法学政治学研究科
役職・課程助教
助成年度2016年度

研究テーマ

雇用の正規化及び非正規労働者の社会的包摂に向けた社会保障法政策についての実証研究

研究概要

 本研究調査は、社会保険の被保険者資格の無制限化と(企業の負担に配慮した)社会保険料の事業主負担軽減の2つを組み合わせた社会保障法政策が、企業に合理的行動を促す結果、雇用を維持させながら非正規雇用の比率を減少させ、ひいては雇用の正規化を実現させることを可能とし、同時に、非正規労働者の社会的排除状態を改善させることができる、という仮説を検証することを目的とする。そして、仮説の検証方法としては、企業及びそこで雇用される(正規・非正規双方の)労働者を対象とするアンケート調査を実施した。その調査結果は、仮説に一定程度整合するものであった。つまり、仮説の社会保障法政策は、企業に対しては、全面的に雇用の正規化を促す効果が認めらるわけではないが、一定程度雇用の正規化を促す効果が期待でき、非正規労働者に対しては、経済的側面、職場での社会関係に関する側面、主観的厚生・幸福に関する側面等に関し、部分的ではあれ、一定の社会的排除の改善、社会的包摂の実現を促す効果が期待できることが明らかになった。