研究概要

代表者氏名新村 秀人(にいむら ひでひと)
代表者所属機関慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室
役職・課程助教
助成年度2015年度

研究テーマ

超高齢者におけるポジティブな心理社会的特性の解明

研究概要

2016年1月1日時点で、東京都荒川区に住民登録のある95歳以上の超高齢者542人全員に対し、幸福感とポジティブな心理社会的特性に関する質問紙調査と訪問調査を行い、それぞれ40人と26人の回答を得た。
幸福感を問うと、28人(71.8%)が肯定的に回答した。幸福感は、精神的健康度、ポジティブ感情、人生満足度、コミュニティ感覚、内省と感情に係る生活の知恵、自我の統合性、老年的超越、認知機能とそれぞれ正の相関を示した。認知機能が認知症水準に低下した者を除くと、ポジティブ感情、自我の統合性、外向性パーソナリティと正の相関または相関傾向を示した。
一般に、老いに伴って性格傾向は閉鎖的・懐疑的・内向的な方向へ変化するとされるが、幸福感の高い超高齢者においては、自我の統合性とそれに続く老年的超越、ポジティブな心理社会的特性への変化が、幸福感形成に寄与していると考えた。