研究概要

代表者氏名西森 利樹(にしもり としき)
代表者所属機関横浜国立大学成長戦略研究センター
役職・課程リサーチャー(研究員)
助成年度2015年度

研究テーマ

資産が不十分な認知症高齢者に対する意思決定支援体制のあり方ーアメリカを参照として

研究概要

 本研究は、アメリカ公的後見制度の検討を通じ、我が国において資産が不十分な認知症高齢者に対する意思決定支援体制のあり方に関し示唆を得ようとすることを目的とする。アメリカでは各州が公的後見制度を制定しており、提供体制には、 ①裁判所モデル、 ②独立機関モデル、 ③社会福祉機関モデル、 ④郡モデルの 4つがある。社会福祉機関モデルは、学説等の批判が大きいなか最も多くの州で採用されており、特にフロリダ州は、あえて裁判所モデルから社会福祉機関モデルヘ変更した。変更に際しては、高齢者福祉省、保健障害福祉省、郡に対する責任委譲、制度自体の廃止を選択肢とし、各機関の使命との調和、利益相反の有無、予算や人材の追加的措置の必要性、公的後見事務所の設立能力を検討基準としていた。
 今後、日本における公的後見制度の導入に向けた議論がより活発になされることが期待される。その際、アメリカにおいてなされてきた公的後見制度の支援体制に関する議論などを参照することができよう。特に、社会福祉機関モデルの是非をめぐって議論された利益相反の問題や、フロリダ州において提供体制を検討した際に用いられた 4つの検討基準などは、日本においても同様に課題となりうるものと思われる。