研究概要

代表者氏名関戸 知雄(せきと ともお)
代表者所属機関宮崎大学工学部
役職・課程准教授
助成年度2014年度

研究テーマ

インドネシアのごみ銀行に参加する家庭のごみ分別率と参加意識に関する研究

研究概要

現在,発展途上国では未処理のごみが埋め立てられ環境汚染を引き起こしており,多くの家庭が資源物を分別せずにごみとして排出している。近年,このような問題の解決のために,インドネシアでは,分別した資源に報酬を与えるごみ銀行が導入された。ごみ銀行は,ごみとして埋め立てられていた資源を,家庭から効率よく回収することを一つの目的としている。本研究では,マラン市で行われているごみ銀行(BSM)への参加要因を明らかにし,ごみ銀行参加促進のための提案を行うことを目的とした。参加世帯と非参加世帯にごみ組成調査とアンケート調査を行い,それぞれの世帯特徴を比較した。その結果,参加世帯,非参加世帯ともに収入はインドネシア家庭の平均収入以上であったが,参加世帯と非参加世帯を比べると,非参加世帯のほうが収入が高かった。BSM参加世帯の資源物分別率は,プラスチックは85%,紙90%,ガラスは18%,金属類は87%であり,調査対象の参加世帯は資源の分別に熱心に取り組んでいることが明らかとなった。BSM制度に対する意識調査結果より,報酬に対する関心度が高く,報酬が得られることが参加への動機の一つであると推測された。一方,環境改善に対する関心も高いことが明らかとなった。報酬が得られることでBSM活動参加を促すのではなく,環境保全の一助となることをキャンペーンを通して,呼びかけることが参加促進につながると考えられる。一方,回収方法や分別項目数などを負担に感じている参加世帯も多いため,BSM制度の改善も必要である。