研究概要

代表者氏名太田 有美(おおた ゆみ)
代表者所属機関大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
役職・課程助教
助成年度2013年度

研究テーマ

聴力改善手術が高齢難聴患者の認知機能・意欲・社会性に及ぼす影響

研究概要

 本研究は、2013年4月から2018年3月までに行われる研究の一部である。2013年4月から2014年1月までに人工内耳手術、鼓室形成術、あぶみ骨手術を行った症例について、聴力、NCIQ(聴覚的QOL評価尺度)の改善度、SDSの改善度、聴力とNCIQとの相関、聴力とSDSの相関、NCIQとSDSの相関を調べた。術前に比べて術後は、NCIQの各サブ項目のスコアの改善が認められた。SDSについても改善が認められた。聴力改善度と音の検知のスコア改善に相関が認められた。聴力改善度とSDS改善度にも相関が認められた。これは、聞こえが悪いということが心理面で悪影響を与えており、聴力が改善されると心理的によい方向に向くということを示している。音の検知、音の認識の各項目のスコア改善度とSDS改善度には相関がみられた。音の検知と相関が大きいということは、全く聞こえないということが大きな不安につながっていると考えられる。聴力の改善によって、活動性や社会的相互作用の改善がみられた。社会の中で人間的に豊かに生活するためには、聴覚は非常に重要な役割を果たしていると言える。また、今回は手術という外科的治療によって聴力改善を行った結果をみたものであり、高齢であっても手術を受けるというストレス以上にプラスの影響が得られることが分かった。