代表者氏名 | 伊東 美緒(いとう みお) |
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代表者所属機関 | 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所 |
役職・課程 | 研究員 |
助成年度 | 2013年度 |
中等度~重度認知症高齢者に対する“認知症ケアメソッド:Humanitude”の導入効果
長寿高齢化社会を迎え、認知症高齢者数は増加の一途をたどる。認知機能の低下に伴い、他者との関係をうまく保つことが困難になるがゆえに、拒否的な態度や暴言・暴力といったBPSD(認知症の行動・心理症状)が誘発される。BPSDが生じると、認知症の人にとっても、その人をケアする家族やケアスタッフにとっても精神的・身体的な負担を強めてしまう。
フランスで開発された“Humanitude"という手法は、拒否的・暴力的とみられる症状のある認知症の人に対して、必要なケアを実施するときに活用できるものである。今回、このHumanitudeの考え方と手法を職員に教えるために、創始者であるイヴ・ジネスト氏の許可を得て、3時間の短期学習プログラムを作成した。
療養型病院において臨床化比較対照試験を実施した。介入病棟の看護師・介護職員全員がHumanitude短期学習プログラムを受け、コントロール群との比較を行ったところ、認知症症状の出現頻度を示すBehave-ADにおいて、介入群のほうで低下した(p<0.05)。職員を対象としてバーンアウトの程度を調べたところ、コントロール群では1か月後に有意に高くなっていたが、介入群ではほとんど変化は認められなかった。
Humanitudeは認知症症状を軽減する可能性があることと、短期研修などの負担があるにも関わらず職員にバーンアウトは生じないことが示唆された。