研究概要

代表者氏名今井 紗緒(いまい さを)
代表者所属機関東京大学大学院医学系研究科
役職・課程大学院生
助成年度2015年度

研究テーマ

産後早期の在日外国人女性における地域での保健医療サービスの利用と、精神的健康度との関連

研究概要

目的:(1)在日外国人母親の産後うつ症状の実態を明らかにする。(2)在日外国人母親の産後うつ症状に影響を与える要因を、保健医療サービスの利用とソーシャルサポートとの関連に注目して明らかにする。

方法:首都圏にある2か所の保健センターにおいて、平成27年8月~12月に3-4か月児健診に来所した母親を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。産後うつ症状はエジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)を用い、ソーシャルサポートはサポートの種類別とサポート提供者別に評価をした。産後うつ症状とその関連要因は、重回帰分析を用いて解析した。

結果:68人の在日外国人母親と97人の日本人母親を分析対象者とした。在日外国人母親のEPDS得点(±SD)は7.5(±5.1)であり、日本人母親の4.2(±3.8)より有意に高かった。在日外国人母親は、日本人母親に比べて妊婦健診受診(p=0.027)、母親学級参加(p=0.004)、乳児訪問(p=0.001)の利用が少なかった。在日外国人母親の産後うつ症状に関連のある要因は、暮らし向き(β = -0.355)、配偶者・パートナーの情緒的サポート(β = -0.254)、配偶者を除く家族の情報的サポート(β = -0.269)であった。

結論:本研究では、在日外国人母親は日本人母親よりも妊婦健診受診、母親学級参加、乳児訪問が有意に少なかった。また、在日外国人母親は日本人母親に比べて産後うつ症状を呈しやすかった。さらに、在日外国人母親の産後うつ症状には、保健医療サービスの利用状況は関連が見られず、暮らし向き、配偶者・パートナーの情緒的サポート、配偶者以外の家族の情報的サポートが関連していることが明らかになった。