研究概要

代表者氏名宇野 宏司(うの こうじ)
代表者所属機関神戸市立工業高等専門学校
都市工学科
役職・課程准教授
助成年度2014年度

研究テーマ

大阪湾圏域における福祉避難所の自然災害に対する立地適性についての検討

研究概要

福祉避難所は,高齢者や障がい者など一般の避難所では生活に支障をきたす人に対しケアを行うために災害時に必要に応じて設置される二次避難所である.これらの施設は日常の利便性を優先して立地されている場合がほとんどで,災害時避難所としての立地の適性については,これまでほとんど検討がなされていない.
本研究では,厚生労働省や自治体等の公表資料から大阪湾圏域(大阪府・兵庫県・和歌山県・徳島県)における沿岸市町の福祉避難施設の指定状況を整理するとともに,現在指定されている福祉避難所の位置情報をもとに内閣府中央防災会議の想定結果を活用した被災リスク評価を行った.また,施設を対象としたアンケート調査によって南海トラフ地震津波対策の観点から,同地域での福祉避難所の現状と課題を明らかにした.
近い将来に起こるとされる南海トラフ地震を控えた大阪湾圏域下の沿岸自治体では,全国平均に比べて福祉避難所の指定が進みつつあるが,津波に対して万全であるとは言いがたく,指定施設の見直しが望まれる.特に平時の利活用の観点から施設そのものが平屋構造となっている福祉避難所も見受けられ,こうした施設では津波防災の観点からの施設機能の強化も急がれるべきである.