研究概要

代表者氏名松島 みどり(まつしま みどり)
代表者所属機関大阪商業大学
役職・課程専任講師
助成年度2014年度

研究テーマ

政策効果の検証~社会医療政策が新生児の健康及び成長過程に与える影響

研究概要

 本研究の目的は,出生前の医療政策介入が新生児の健康に与える影響と,出生後の公的医療支援が子どもの成長過程に与える影響を評価することによって,日本の社会医療政策に寄与することである。
 そこで,まず日本の自治体における妊婦健康診査の公費負担回数増加が新生児の健康状態に与える影響を検証した。沖縄県の2005~2013年の市町村データを用いて分析した結果,2009年の公費負担回数増加が妊婦健康診査受診回数を平均的に増加させ,低体重児の割合を低下させていることが明らかとなった。
 次に,乳幼児医療費助成制度が子どもの成長に与える影響を検証した。この検証では沖縄県において独自にデータ収集を行い,医療費助成についての理解の現状把握と,子どもの健康状態との関係を確認した。調査からは制度自体を知らない回答者が一定数存在することが明らかとなり,子どもの健康状態や親の子育てに対する負担感,受診行動については助成制度の影響は確認されなかった。
 本研究で着目した制度の定量的評価は今までほぼ実施されてきていないため,本研究は研究の初期段階であり,沖縄県のみのデータを使用していることには注意しなければならない。つまり,本研究の結果はこれらの政策の最終評価ではなく,今後の研究や政策を考えるための資料の一部にすぎず,今後さらに研究を発展させ,日本全国を対象として検証をすることで,より良い社会医療政策を提案するための資料を蓄積する必要がある。