研究概要

代表者氏名入海 英里子(いるみ えりこ)
代表者所属機関特定非営利活動法人 日本スクールソーシャルワーク協会
役職・課程会員
助成年度2013年度

研究テーマ

学校における修復的アプローチ実践に関する研究

研究概要

 多様な背景、価値観を有す人と人が集まる場所において、対人間のコンフリクトは避けがたく発生する。学校におけるいじめや暴力行為をコンフリクトの一種としてとらえる時、当事者全員が参加し、対話によって協働して、その解決の道を模索する「修復的対話」は人間尊重をその基本理念としており、いじめ防止対策推進法に明示される「出席停止」や「警察との連携強化」をはじめとした厳罰的な解決策に代わり、ひいては「社会で許されないことは学校でも断じて許されない」といった、学校におけるコンフリクトのとらえ方を本質的に転換する可能性を有している。本研究では修復的アプローチの先駆的実践を重ねる米国での現地調査をもとに、日本版のマニュアルを作成し、日本の小中学校に紹介、実践したことを報告する。
 「修復的対話」によるアプローチは、①コンフリクト場面に対応するコンファレンス、ファミリーグループコンファレンスと②コンフリクト予防、平和的な学校文化を築くことを目的としたRJサークルがあるが、米国ミネソタ州児童・家族および学習局においては、特に②の予防的な取組み(RJサークル)を重視しており、日々、教職員と子どもたちが、単なる方法論として活用するのではなく、平和的で調和的な学校を築く取組みとして実践していた。実践報告のない日本の学校においては、いくつかの自治体のスクールソーシャルワーカーが学校内で取り組みを開始したことを報告する。