研究概要

代表者氏名村上 慎司(むらかみ しんじ)
代表者所属機関公益財団法人医療科学研究所
役職・課程リサーチフェロー
助成年度2013年度

研究テーマ

高齢者福祉の新たな所得保障に関する学際研究――自助・互助・共助・公助の再編を目指して

研究概要

 本研究は、現行の社会保障制度で十分に対応できない低所得高齢者のための新たな所得保障を実態調査と規範理論からなる学際的手法から検討し、具体的には以下の三つを遂行した。
 第一に、公助の自立支援プログラムとその代替案を念頭におき、自立と責任の議論及びそれに対置される生活保障の平等を追求する議論についての規範理論を考察した。
 第二に、給付付き税額控除は社会保障と税の一体改革においても検討されているが、それが生活保護の現金給付部分を代替できるか否かについて、財政シミュレーションと課税の衡平性を巡る規範理論からその正当性を検討した。
 第三に、生活保護受給要件から外れ、年金給付も過少な低所得高齢者に対する生活保障を提供するリバースモーゲージ型生活支援制度の可能性が注目されている。日本で実施されている本制度について、社会福祉協議会を対象とするアンケート・ヒアリング調査とその分析から、利用実態と課題を明らかにした。
 以上を通じて自助・互助・共助・公助の再編を目指した。