研究概要

研究テーマ

妊娠中のパートナーによる暴力(IPV)と精神的健康度・母子愛着形成の関係及びその影響因子の探索

研究概要

　妊婦600名に対し自記式質問紙を用いた縦断調査（妊娠後期・産後１ヶ月）を実施した。
　妊娠中の調査項目は属性、日本語版Index of Spouse Abuse、日本語版Hospital Anxiety and Depression(HADS)、日本語版Sense of Coherence (SOC)、妊娠への気持ち、新版自覚症しらべ、社会サポート、産後は日本語版HADS、日本語版赤ちゃんへの気持ち質問票であった。分析は共分散構造分析(SEM)を用いた。
　有効回答者318(53%)中、身体的暴力(P-V)陽性者は9名(2.8%)、非身体的暴力(NP-V)は8名(2.5%)であった。SEMの結果、P-Vは妊娠中の疲労感、産後不安、NP-Vは低いSOC、妊娠への消極的態度、疲労感、児への怒りと拒絶感の直接的な予測因子であった。更にP-Vは疲労感、NP-Vは低いSOC、疲労感が媒介し、妊娠・産後の不安・抑うつ、児への愛着不足・怒りと拒絶感に間接的影響を与えることがわかった。