研究概要

代表者氏名上村 敏之(うえむら としゆき)
代表者所属機関関西学院大学経済学部
役職・課程教授
助成年度2012年度

研究テーマ

家計の医療・介護サービスの消費・負担に関する実証研究

研究概要

 本研究報告書の第1章と第2章には家計が負担する国民健康保険料を収納率の視点から分析を行い、第3章は介護保険制度が家計の消費に与える影響について検証した。
 第1章では、国民健康保険料(税)の収納率に着目し、国民健康保険制度における財政調整制度、保険料(税)徴収の視点、そして滞納の実態から、保険者が抱える収納率の決定要因を明らかにした。続く第2章では、所得割の保険料率と均等割の保険料は、収納率にマイナスの効果をもつが、平等割の保険料は有意ではなく、資産割の保険料率は収納率を高めることが示された。
 第3章では、世帯内に高齢者がいる家計ほど消費の抑制が働いているが、介護サービスを受けている家計は消費が増える結果が示された。ただし、介護サービスを受ける低所得の家計は貯蓄を切崩して消費している。したがって介護の必要によって家計の消費行動は変化しており、介護サービスでもカバーできない消費の格差の存在が指摘できた。